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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

難治のすい臓がんでもステージ1なら10年生存率は3割ある

公開日: 更新日:

 私が所属する東大病院でも昨年、難治のすい臓がんをとても早期で発見できたケースがありました。別の病院で人間ドックを受けたところ、エコー検査ですい臓の異常所見が認められ、精密検査を受けに来られた60代の男性です。

 確かにMRIやCTなどでもすい臓がんを疑う所見があり、過去2カ月の平均的な血糖状態を示すHbA1cが急上昇していたこともがんの可能性を後押ししました。そうしたことから、すい臓が分泌する消化液のすい液を採取して、そこにがん細胞があるかどうかの精密検査を行った結果、がん細胞が認められ、ロボット手術によって切除が行われました。

 この男性のケースは超早期といえます。今後も定期的な経過観察は必要でしょうが、ほぼ完治といってよいと思います。

 がんの治療をめぐっては、生存率や病院の成績などが注目されますが、そうした数値の改善は治療技術の進歩としてすばらしいことですが、そこに着目するより、日ごろから早期発見を心掛けることの方がよっぽど大切です。そうすれば、たとえ難治がんでも10年を超えてほぼ完治といえるような状態になることも珍しくないのですから。

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