城彰ニさん(1)ノンプロ野球選手だった父のせいで、子どもの頃はゴルフが大嫌いでした
食事も父中心で、一気に食べたら、すぐどこかに行ってしまう。外食のときは一番困るんです。焼き肉屋さんに行っても、父は食べたら、一人で車に乗って帰っちゃうんです。だからゆっくりご飯を食べたことがない。
中学1年時、「サッカーを真剣にやりたい」と父に相談して名古屋に行きました。名古屋にはたまたま父の弟がいたんですけども「ノータッチにしてくれ」と伝えられ、僕は1人暮らしで自炊生活です。死にかけましたね。仕送りも多いわけじゃなくて。義務教育の1人暮らしも認められていないので、絶対誰にも言えない。
お金がなくて3日間水しか飲めず、ゴミ箱を漁りに行ったこともありました。でも、世の中のお金がどう回っているのかとか、お金の使い方を学べたんで、すごくいい経験になったと思います。サッカーについても、本当にうまくなりたかったんで、いい指導者に巡り合えたり名古屋の選抜に選ばれたりと、スキルアップができたのも大きかったと思います。それが日本代表にもなれた土台になったと思います。
結局、1人暮らしをしていたのが見つかって、親元に強制送還になりました。北海道に戻るつもりでいたら、行き先は鹿児島。僕が名古屋に行っている間に父の母の体調が悪くなって、みんな鹿児島に移住してたんです。
子どもの頃、大嫌いだったゴルフには、サッカーの現役引退後にハマります。それにも父が関係しています。その話は次回に。=この項つづく
(取材・構成=日本ゴルフジャーナリスト協会会長・小川朗)