「百寿はそんなに目出度いことか」佐々木学著
著者は長野県の国保診療所で在宅医療に力を入れてきた。あるとき、携帯に、見知らぬ女性から「母が退院するので在宅の主治医を引き受けてほしい」と依頼がきた。その母、シズコさんは88歳。ステージ4の肺がんと診断されたのに、検査が終わると退院すると言って帰宅してしまった。最期は自宅でと3年間を過ごしたが、やがて家族のいる娘や年老いた夫に世話になることを憂え、再入院して1カ月で亡くなった。
団塊の世代が後期高齢者になる頃は、1人暮らしの老人や老夫婦2人の世帯が増える。施設入所ではなく在宅を選ぶ場合、さまざまなことを自分で決めなければならない。
約30年、さまざまな最期に立ち会った医師が、在宅医療について考える。
(現代書館 1650円)