【廃用症候群】NTT東日本関東病院 リハビリテーション科(東京都品川区)
「廃用予防の基本は、呼吸、循環を含めた筋力や体力の維持ですが、入院すると筋力や体力が落ちて嚥下障害を起こす患者さんが非常に多い。そうなると食事量が減ったり、誤嚥性肺炎などから、さらに廃用が進む悪循環になります。ですから、患者さんの入院と同時に、まず飲み込みの評価と嚥下機能を低下させないためのリハビリをします」
■「病室」での行為が退院後に重要になる
食事の栄養管理や口腔ケア(歯科)などに関しても、リハビリ科が総合的に関わっていく。運動だけでなく、日常の「顔を洗う」「トイレに行く」「売店やラウンジに行く」などの生活行為をきちんとやってもらうことが大切になるという。
「リハビリ室でやってもらう『できる動作』よりも、病室で『している行為』の方が退院後の生活では重要になります。ですから、どうすれば無理なく動けるか、手すりやベッドの高さ、ベッドの向き、移動の方法などを看護師さんと一緒に病棟に行って考えたり、環境を整えたりします」
近隣に住む患者の場合、必要であれば退院前にリハビリスタッフが患者の自宅に出向き、その環境に合わせたリハビリを訓練の中に取り入れるケースもあるという。これらの体制によって、同科の廃用患者の平均入院期間は2013年度の34日から、現在は26日にまで短縮が進んでいる。