前立腺がん・大腸がん<4>同室患者のすすり泣きに「負けてはいけない!」と

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 吉田さんは診察室からICU(集中治療室)に搬送される途中、担当医から「いずれ、気道を確保するために喉を切開することになります。3カ月ぐらい話せませんから、今のうちに奥さんとよく話しておいてください」と告げられた。

 ICUで一晩中マスクを装着して安静にしていると、カーテン越しにすすり泣くような女性の声が漏れてきた。

「重症患者の奥さんか娘さんでしょうか。いつまでも泣き続けている声を聞きながら、なぜか私は『病なんかに負けてはいけない!』と思ったのです」

 入院は32日間に及んだ。幸いにも、気管支を切開せずにマスクを介して換気を行う「NPPV」(非侵襲的陽圧換気療法)が行われ、吉田さんは救われた。

 7年前に「前立腺がん」の告知を受けて以来、吉田さんは「大腸がん」や副作用に付随する3つの大病とも闘ってきた。現在も毎日、10種類以上の医薬品を服用している。同僚や友人たちからは「吉田さんは強い!」とよく言われるが、返事はいつも決まっている。

「何があっても、生涯現役でいたいんです」

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