「水をたくさん飲むと腎臓に良い」は本当なのか?
皆さんは毎日水をどのくらい飲んでいますか? たくさん水を飲むと体に良い、というのは、しばしば見かける健康法です。これにはどのくらいの科学的根拠があるのでしょうか?
アメリカでは1日2.5リットルの水を飲むことが1945年に推奨されていますが、実はこれは食事の水分を含んだもので、食事以外に2.5リットルを飲むという意味ではありません。水をたくさん飲むことの健康への効果は、実際にはそれほど根拠のないことがほとんどなのです。
その中で一定のデータがあるのが、腎臓への影響です。
腎臓の働きを低下させた動物を使った実験では、水を多く飲ませた方が腎臓の働きが改善するというデータが報告されています。水を多く飲むと、血管を収縮させるバゾプレッシンというホルモンの濃度が下がり、それが腎機能に良い影響を与えているのでは、と考えられているようです。
今年の米国医師会雑誌に掲載された論文によると、腎機能が低下した慢性腎臓病の患者さんに対して、普段より水分を多く取るように促したところ、全体としてははっきりした差はありませんでしたが、一部の腎機能の数値については、水をたくさん飲んだ方が、腎機能が悪化しにくい、という結果が得られていました。
この研究結果によると、普通の体格の人であれば、食事以外に1リットルくらいの水を飲む習慣は、腎臓にとって良い可能性があるようです。