会議中のあくびは「真面目に聞こう」とする意思の表れ
眠い時や退屈な時には「あくび」が起こります。これ以外に医者がよく遭遇するあくびは、患者さんの血圧が急に下がった時など、具合が本当に悪くなる直前に出るあくびです。体調の悪い時に出るあくびを、「生あくびが出る」というような言い方をすることもあります。
あくびはなぜ起こるのでしょうか? これは20年くらい前に分かった、比較的新しい知見です。脳の視床下部に「室傍核」という場所があり、そこを刺激するとあくびが出ることから、室傍核があくびを起こしていることが証明されています。あくびを起こす刺激は、覚醒する神経を同時に刺激させることも分かっています。つまり、あくびをすると同時に目が覚めるのです。脳が眠ってはまずいと判断した時に、人間を含む哺乳動物はあくびをして目を覚ますのです。
退屈な会議や授業などの時にあくびをすると、「真面目に聞け」と怒られることがありますが、実はあくびをするのは目を覚ますためですから、逆に真面目に聞こうとしていることの証しでもあるのです。
具合の悪い時の生あくびは、脳の血流が低下して危険な状態と判断した時に出す、一つの警告のサインと考えられています。医者はこれを見逃さずに治療を開始しないといけません。同じあくびといってもさまざまで、眠くなくて具合の悪い時に出るあくびには、注意が必要なのです。