骨粗鬆症の骨折「コルセットつけて安静」が寝たきりを招く
■望ましいのは速やかな経皮的椎体形成術
77歳の女性は転倒し、近くの医院で骨粗鬆症性椎体骨折と診断され、保存的治療となった。ところが翌月には両大腿部が痛み、歩行困難に。検査の結果、体を支える機能の前方支柱が破綻し、骨折が脊柱管に及び、神経の圧迫が確認された。前方支柱を再建する人工椎体置換術が行われたが、手術時間は5時間。出血量もかなりあった。
「この女性はうまくいったものの、人工椎体置換術のような高侵襲な手術は、高齢者では全例に適応できません。そこで保存的治療より効果があり、少しでも低侵襲な手術として積極的に行っているのが、経皮的椎体形成術(BKP)です」
これは骨折した椎体に骨セメントを入れて固め、痛みを取る治療法。背中側に5ミリほどの穴を2カ所開けてバルーンを挿入し、バルーンを拡張させて椎体を骨折前の形に近づける。バルーンを除去し、バルーンでできた空洞に骨セメントを充填する。手術の傷は小さく、出血量はごくわずか。
「脊柱後弯変形が驚くほど低侵襲に矯正され、痛みを取る効果は大きい。手術時間は平均30分で、術後は全身麻酔から覚めた後、コルセットを装着してトイレまで自力歩行が可能です。入院期間は4~5日です」