子供に多い脊柱側弯症 親が知っておくべき治療のポイント
一方、若い女性の患者が多いことから、傷がほとんど目立たない手術法として江原医師が開発したのが、内視鏡を使った小切開での「前方矯正固定術」。
肋骨の間に7センチを2カ所切開し、インプラントを椎体へ入れて矯正する。固定力は“後方”より落ちるので、側彎の程度が65度を超えると適さない。さらに、曲がり具合によっても適さないという判断になる。後方、前方ともに、入院期間は10日ほど。子供では、夏休みや冬休みなど長期休暇に行うケースがほとんど。
「どちらも一長一短があります。ただし言えるのは、側彎の程度が40~60度の間で手術を検討すれば、傷が小さい前方矯正固定術ができる可能性もあるということです」
術後は6カ月ほど運動はできないが、その後は、空手などの格闘技、器械体操、スノーボードなどの激しい運動以外、禁忌事項はない。テニス、水泳、ゴルフ、スキーなどはOK。また、リスクが高まる病気もない。
脊柱側彎症を放置すると、見た目の問題に加え、後に呼吸や食事面での障害、逆流性食道炎や脊柱管狭窄症などを併発することもある。思春期で脊柱側彎症を発症したが、側彎はほとんど進まず、高齢になって側彎の程度が進み、手術になるケースも近年は増えている。
「80代でも手術は可能。しかも当院では、世界初のロボットアームによって術中に背骨の3次元デジタルデータを作成し、それをベースにインプラントを挿入する。位置なども正確に確認でき、安全かつ短時間で手術を行えます」