著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

定期的なウオーキングで肺炎死亡のリスクが低下する?

公開日: 更新日:

 日本人の主な死亡要因は、悪性新生物(腫瘍)、心臓病脳卒中ですが、高齢化を迎えた現代社会においては「肺炎」も軽視できません。実際、高齢者では加齢に伴って肺炎で亡くなる方の割合が増加します。

 肺炎を予防するには、肺炎球菌ワクチン接種も重要ですが、高齢者の死亡原因となる肺炎の多くは、飲食物が誤って気管に入ることで発症する誤嚥性肺炎です。日本人高齢者を対象に行われた肺炎球菌ワクチンの研究でも、全肺炎死亡のリスク低下は明確には示されていません。

 そんな中、高齢者の肺炎死亡に関する観察研究の論文が、日本疫学会誌電子版に9月22日付で掲載されました。

 この研究は、65~79歳の日本人高齢者2万2280人を対象に、毎日の歩行状況(ウオーキング)と、肺炎死亡の関連を調査したものです。結果に影響を与えうる、年齢や性別、喫煙状況などの因子で、統計的に補正を行い解析しています。

 中央値で11.9年にわたる追跡調査の結果、心筋梗塞や脳卒中を起こしたことがない人では、1日の歩行時間が30分の人と比べて、1時間の人で肺炎死亡が10%、統計学的にも有意に少ないことが示されました。また、心筋梗塞を過去に起こした人でも同様に、1日の歩行時間が30分の人と比較して、1時間の人で肺炎死亡が34%、統計学的にも有意に少ないという結果になっています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    演技とイケオジぶりで再ブレーク草彅剛と「10億円マンション売却説」中居正広氏との“絆”

  2. 2

    泉ピン子が終活をやめたワケ「渡る世間は(水原)一平ばかり!」スペシャルインタビュー

  3. 3

    阪神からの戦力外通告「全内幕」…四方八方から《辞めた方が身のためや》と現役続行を反対された

  4. 4

    キムタク一家の妹Kōki,は映画主演の裏で…フルート奏者の姉Cocomiの話題作りと現在

  5. 5

    かんぽ生命×第一生命HD 人生設計に大切な保険を扱う大手2社を比較

  1. 6

    米田哲也が万引きで逮捕!殿堂入りレジェンド350勝投手の悲しい近況…《苦しい生活を送っていたのは確か》

  2. 7

    イスラエルにあなたの年金が流れていく…厚労省「ジェノサイド加担投資」引き揚げ“断固拒否”の不可解

  3. 8

    坂本花織の世界選手権66年ぶり4連覇に立ちはだかる…国際スケート連盟の「反トランプ感情」

  4. 9

    カーリング日本女子が到底真似できない中国の「トンデモ強化策」…世界選手権では明暗クッキリ

  5. 10

    公表された重点施策で露呈…JR東海の株価低迷と時代遅れの収益構造