著者のコラム一覧
東丸貴信東邦大学名誉教授、平成横浜病院健診センター長

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。

コロナ感染という強烈な体験の「記憶」が肉体を長期的に蝕む

公開日: 更新日:

 こうした肉体的変化がもたらす精神的な影響も見逃せない。外出自粛などでイライラすると家庭内でイザコザが増えて、モラハラなども起きやすくなる。また、運動不足はもとより孤独や社会的孤立などの精神的ストレスは脳神経の働きを衰えさせ、認知症のリスクをアップさせる。

 一方、新型コロナウイルス感染症では血液が凝固して血栓ができやすく脳卒中リスクが高まることが知られている。その延長として、脳卒中後うつ病や脳血管性認知症が生じる可能性が高い。まとまった報告例はないが、認知症増悪にはこの病気の併発も考えられる。

 英国リハビリテーション医学会(BSRM)の「新型コロナウイルス感染症のリハビリテーションに関する報告」によると、主な合併症の中にうつ病、不安、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などといった情動障害が含まれている。全身に血栓ができやすいという理由だけでなく、新型コロナに感染したという衝撃と恐怖が記憶され、こうした心の病を引き起こし、それが長期化するケースもあるのだ。

 新型コロナの8割が軽症だから大げさに考える必要がない、というのは間違いだ。感染症に対する過度な恐れ、生活自粛や病気の後遺症でその人のパフォーマンスが低下することによる気持ちの落ち込みやうつ病などの長期的な精神的影響をもっと認識した方がいい。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…