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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

日米調査で判明 心筋梗塞とがんの患者数減少の意味の違い

公開日: 更新日:

 検診や受診を控えるのはやめてください。この連載で何度となくそう書いてきました。がんの診断や治療が遅れることを危惧したためですが、恐れていたことが具体的にデータとして報告されています。

 たとえば、米国では全退役軍人病院のデータを昨年同期と比較。脳梗塞心筋梗塞、心不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、虫垂炎、肺炎の入院患者数がすべて減っていました。

 実は米国では、心筋梗塞や狭心症に不可欠のカテーテル検査や治療の件数も、前の年に比べると5割近く減っています。

 この2つのデータから読み取れるのは何でしょうか。心筋梗塞や狭心症の患者は、自然に減ることはありませんから、患者は新型コロナウイルスへの感染を恐れて何らかの症状がありながらも受診を控えたため、見かけの入院患者数が減ったのがひとつです。もうひとつは、新型コロナ対応の余波で、病院側がコロナ以外の病気の治療に手が回らないこともあるでしょう。

 その結果、浮かび上がるのは次の予測です。コロナの影響で診断されずにいる心筋梗塞や狭心症の患者が増えているといえるでしょう。その予測は、ほかの病気にも当てはまります。

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