ワクチンで重症化する人は抗体に特殊な糖鎖がついていない?
■「サイエンス誌」に注目の論文
さらに興味深い報告がある。世界的権威のある「サイエンス誌」に2021年2月26日付で掲載された論文だ。オランダの研究所が投稿したもので、タイトルは「Afucosylated IgG characterizes enveloped viral responses & correlates with COVID-19 severity」。新型コロナウイルス(SARS-CoV2)に対する抗体の「フコシル化」の程度と重症度との相関を調べたもので、重症化している人ではフコシル化されていない抗体の比率が高まっていることを示した。
抗体はタンパク質でできているが、実はその抗体に「糖鎖」というものがついている。タンパク質の機能は糖鎖の有無、種類によって異なることが知られている。抗体でもそれがあるというのだ。
フコシル化とは、糖鎖修飾のひとつ。免疫機能や肺機能に重要であるのに加え、肺がん、肝がん、膵臓がんなど多くのがんで発現が上昇することがわかっている。