著者のコラム一覧
坂本昌也国際医療福祉大学 医学部教授 国際医療福祉大学 内科部長・地域連携部長

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

糖尿病予備群も危ない 心筋梗塞や脳卒中のリスクが2倍以上

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 糖尿病予備群とは、「血糖値が正常より少し高いが、糖尿病と診断される値よりは低い状態」を指します。これを、「まだ糖尿病じゃない。このままでいいんだ」と捉える人が多いのですが、糖尿病予備群は「予備群と言われてしまった。これはなんとかしないとまずい」と考えるべき状態です。

 米国で行われた調査で、糖尿病予備群も糖尿病と同様、対策が必要な状態であることを示す結果が出ました。

 ミシガン州のボーモント医療システムで2006~20年に治療を受けた18~104歳の2万5829人を対象に、すべての患者を追跡調査。米糖尿病学会では、HbA1cが5・7~6・4%、空腹時血糖値が100~125㎎/デシリットル、または経口ブドウ糖負荷試験で140~199㎎/デシリットルであると糖尿病予備群(米国ではprediabetes=前糖尿病)としており、追跡調査対象の2万5829人のうち、糖尿病予備群は1万2691人、HbA1cが正常な人は1万3138人でした。

 5年間の追跡調査で明らかになったのは、HbA1cが正常な人では心筋梗塞脳卒中といった心血管疾患の発症リスクが11%だったのに対し、糖尿病予備群の人は18%と高かったということ。年齢、性別、BMI(肥満度を表す体格指数)、血圧、コレステロール、睡眠時無呼吸症候群、喫煙、末梢動脈疾患といった心血管疾患のリスクを上げる他の要因を考慮しても、糖尿病予備群は心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高いことが分かりました。

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