「不妊検査で異常なし」=「不妊ではない」ということにはならない
28歳のA子さんは結婚後2年たっても子供ができないため、不妊治療を専門とするクリニックを受診。不妊検査で「両側の卵管が閉塞している」と言われました。そこで卵管を広げて閉塞を解除する卵管形成術を受け、2カ月後に自然妊娠されました。
不妊治療で妊娠したと聞くと、このように治療をして何かしらの原因を治し妊娠した、という経過を思い浮かべる方も少なくないのではないでしょうか。しかし、実はこうしたケースは不妊治療の世界ではごくわずかなのです。
不妊治療では、A子さんのように検査結果に基づいて、治せる原因がある場合にはそれに対する治療を行います。しかし、妊娠までの過程はそのほとんどが体内で起こっており、検査で明らかにできることは非常に限られています。卵子と精子が正常に受精しているか、受精した胚が育っているのかは女性の体内で起きていて、もはや調べようがありません。したがって、「不妊検査では異常がなかった」=「不妊ではなかった」ということにはならないのです。
■不妊治療は「治す」のではなく「補う」治療