がんではなく心血管疾患が原因で亡くなるがん患者が増えている
近年になって登場した分子標的薬の多くも、高血圧、心筋障害、冠動脈疾患、心不全の副作用が報告されていますし、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)などの免疫チェックポイント阻害薬も、心筋炎、心房細動、心室性期外収縮などの心臓障害を起こすリスクが指摘されています。
抗がん剤ではありませんが、前立腺がんの治療などで使われるホルモン剤も、患者さんによっては一気にコレステロール値が上昇して動脈硬化の促進に傾くため、心血管疾患につながりやすくなるといわれています。
■放射線治療が影響するケースも
心臓に負担をかけるがん治療は抗がん剤だけではありません。放射線治療でも、心臓に悪影響を与えるケースがあります。近年の放射線治療は患部に対してピンポイントに照射できるようになってきましたが、それまでは広範囲に強く放射線を当てていました。そのため、たとえば乳がんで放射線治療を受けたことがある患者さんの中には、心臓付近の血管の石灰化が進んでいたり、弁にも影響が出て不整脈や心臓弁膜症を起こす人もいます。