「運動習慣」がある人は感染症にかかっても重症化しにくい
さらに注目したいのは、運動不足群(年齢60歳以上または臓器移植を受けたことがある人を除く)は、がん、糖尿病、循環器疾患、腎臓病、高血圧などの基礎疾患がある人よりも死亡リスクが高かったという点です。また、運動不足の人よりは運動をしている中間群についても、コロナの重症化リスクは抑えられていました。つまり、少しでも体を動かしている人は、感染症で重症化しにくいという結果だったのです。運動による心肺機能の維持が重要と考えられます。
また、サンパウロ州立大学は、コロナのパンデミックで外出制限が開始された数カ月で、世界中の身体活動量は33.5%低下し、座位行動は28.6%上昇したとの調査結果を出しています。
加えて、運動ガイドラインで推奨された運動をしていない運動不足の人は40歳以上で57.3%、糖尿病のリスクのある人で57.7%に上り、コロナのパンデミックによる運動不足は糖尿病発症の9.6%、世界の全原因による死亡の12.5%を新たに引き起こすと推定しています。
この欄でも繰り返し紹介しているように、テレビを見ているときなどにストレッチをする、仕事中30分や1時間ごとに立って少し歩き回る、ランチを少し遠めの店で取るなど、ちょっとしたことでいいので、体を動かそうという意識を持つべきです。その際、「やっていて楽しい」というところまでいかなくても、「つらい」と感じないものを選ぶといいでしょう。