難治すい臓がんに光 国内7番目の重粒子線治療の施設が誕生
重粒子線では、X線より高い線量を照射し、抗がん剤は最大限投与できます。照射回数は、X線の半分以下の12回。それでいて副作用の頻度は、抗がん剤の単独投与と同等です。
臨床試験のデータでは、2年生存率は48%。正常組織への障害は、72例中わずか3例でした。化学放射線の治療成績は10~20%ほどですから、その差は歴然です。
肺がんでは、X線による定位放射線治療では4~6回の照射ですが、重粒子線なら1回。ステージ1の肺がんで5年生存率は6割ほど。進行肺がんの2年生存率は約5割と悪くありません。さらに骨軟部腫瘍も、重粒子線がよいと思います。
しかし、前立腺がんはX線がベター。古くは、前立腺がんの放射線治療は、35~40回の照射が必要でした。それが定位放射線治療の登場で、5回で済むようになっています。直腸への副作用も激減していて、治療成績は手術と同等です。
一方、重粒子線だと、照射回数は12回。治療成績も、5回照射と大差ありませんから、5回照射の方がメリットが大きいといえます。
前立腺がんの場合、重粒子線の費用は160万円で、5回照射の定位放射線は63万円(いずれも患者負担は1~3割)。費用面でも、5回照射に分があります。