ダメージを減らす「心筋保護液」の投与法は進歩し続けている
そこで、これまでの経験から問題が起こらない範囲で投与間隔を少しずつ延ばしていき、逆行性で40分に1回、順行性で60分に1回という間隔に行き着いたのです。さらに、心臓の働きが著しく低下している患者さんの場合には、もう少しだけ投与間隔を詰めたり、手術操作の合間はずっと投与し続けるといったように臨機応変に対応しています。
最前線の現場を知らない勉強不足の医師の中には、心筋保護液は30分に1回の間隔で投与しなければならないと主張しているケースも目にしますが、心臓手術の神髄を知らない単なる自己主張です。心筋保護液とその投与法は常に進歩し続けています。心筋保護の研究だけに医師としての人生を捧げた人もいるほど奥が深いですから、今後もさらに優れた方法が考案され進化していくでしょう。
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