認知症を発症したら地域の活動はやめるべきでしょうか?
この男性の場合、役員から病気に対する理解を得られ、また「今のところ表立った困りごとはなく地域の人からも厚い信頼を得ているのでぜひ続けてほしい」と、その後2年間、町内会長を続けました。
一方で、ご自身で役職を辞退された方もいます。70代後半の男性は、地域のグラウンドゴルフチームのリーダーで、団体の会長を務めていました。認知症を発症してから約2年経ったころ、体力の低下のほかに記憶力や判断力が衰え、家族と相談していくつものチームを取り仕切るのは自分には難しいと判断し、会長の座から退いたそうです。
ただ、これまで培ってきた地域住民との関わりを持ち続けるためにも、辞めたあとも定期的に顔は出し続けるとよいでしょう。
▽杉山孝博(すぎやま・たかひろ)1973年東京大学医学部卒業後、東大医学部付属病院で内科研修。75年に川崎幸病院に内科医として勤務し、87年からは同院で副院長を務める。98年から川崎幸病院の外来部門を独立させた川崎幸クリニックが設立され、現在まで院長を務める。81年から公益社団法人「認知症の人と家族の会」に参加し、現在は神奈川県支部の代表を務める。