握力がなくても身長2メートルの男性を起こすことができる
「体に障害があってもなくても、人は誰でも頭部が真正面と真後ろにある程度傾くと、体は必ず倒れます。頭を前へ傾けさせれば倒れまいと足に力が入るので、その動きを利用して介助者が引けば立ち上がれます。反対に、後ろへ頭が傾いたら押せば着座させられます。その際、相手の体を握ったり掴むのではなく『触れる』ことを意識して下さい」
介助の前に知っておきたいのが体の要所だ。主な場所は、①骨盤②肩甲骨の下端と背骨の交点③骨盤の上端と背骨の交点で、そこに力をかけられると動けなくなったり、逆に自分の意思にそぐわず動かされてしまう。いわゆる人間の“急所”でもある。位置をしっかりと押さえておけば、どれだけ体格の大きい相手でも力いらずの介助ができるのだ。
「昨年、高齢者の人口比率が世界一高いとされるモナコやその他の中東諸国から招待を受け、現地の医療施設で介助技術を紹介しました。両手の握力がほとんどない私が身長2メートルを超える男性を起き上がらせたことで、驚きの声が上がりました。ご家族の介助がうまくできないと悩まれている方は、ぜひ根津式介護技術を試してみて下さい」