糖尿病と自殺・事故リスク…70歳定年時代に備えて知っておきたいこと
約14万人のうち、解析条件に適合し対象となったのは10万5000人。研究開始時点で糖尿病になったことがあると回答したのは約4900人で、そのうち追跡調査中に自殺したのは41人、事故で亡くなったのは72人だった。
■生活習慣の変化や心理的ストレスが影響
一方、研究開始時点で糖尿病になったことがないと回答した人のなかで追跡調査中に自殺したのは577人、事故で亡くなったのは727人だった。解析の結果、糖尿病になったことがあるグループの自殺・事故リスクは、糖尿病になっていないグループと比較して高いことが観察され、とくに40~49歳では約2倍、50~59歳では約1.4倍有意に高いことが報告された。ただし、60歳以上では統計学的差はなかったという。なぜ、糖尿病の人は自殺・事故リスクが高いのか?
「はっきりしたことはわかりません。しかし、先に述べたように糖尿病はうつ病と強い関係にあることがさまざまな研究で明らかにされており、そのうつ病は自殺の強い危険因子であることが知られています。自殺の背景に糖尿病が関連しているのではないか、と考えられます。糖尿病に伴う抑うつ状態や視覚障害から、交通事故や高所からの転倒・転落などの不慮の事故に遭いやすいことも関係しているでしょう」