高身長は「がん」のリスクが高い…身長と病気の関係がわかってきた
しかし、なぜ高身長だとがんのリスクが高くなり、循環器疾患のリスクが低くなるのだろうか。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏(内科医)はこう言う。
「“身長が高い人は、がんのリスクが高い”というのは欧米ではコンセンサスになっています。がんリスクが高くなるメカニズムは、まだ明らかにされていません。ただ、高身長の人ほど発がんに関連する『インスリン様成長因子』(IGF)のレベルが高いことが関係している可能性は考えられます。IGFのレベルが高いと細胞分裂が促され体も大きくなりますが、がん細胞も増殖してしまいます。もっとも、がんになるのはいくつも要因があり、高身長が及ぼす影響は微々たるものでしょう。一方、高身長の人の循環器疾患のリスクが低くなるというのは、高身長の人のリスクが低いのではなく、低身長の人のリスクが高い、ということかも知れません。一般的に低身長の人は、幼少期に低栄養だった可能性があり、血管がもろく、循環器疾患のリスクが高くなるとも考えられます」
身長と病気との関係について研究が進めば、予防や治療に役立つようになるのではないか。