【寄稿 早草紀子】オランダはなでしこに願ってもない相手
もっとも、「これが日本の実力」とも思い切れない部分も少なくない。「(他)試合を見ていても、これ以上の引き出しがあると思えるチームはあまりない。ウチは引き出しすら開けていない」という高倉監督の言葉に大いに頷いてしまう。
なでしこジャパンの身上は、その全力プレーで下馬評を覆す上昇気流を生み出すこと。その様をまだ一度も見ていない。ゆえの違和感なのだ。
ラウンド16の相手はヨーロッパチャンピオンのオランダ(日本時間26日4時キックオフ)だ。いわずもがなの強敵。日本は2018年のアルガルベカップでは2-6という大敗を喫しているのだから、全く嫌な相手である。が、実はこれ、願ってもない相手なのではないか?
ここでオランダを倒せば、間違いなく上昇気流は生まれる。望んだものとは異なりながらも、舞台は整っていく。
負けた瞬間、目標にし続けてきたワールドカップ制覇の夢は終わってしまう。その緊張感の中でぜひ、壁を打ち壊していく姿を見せてほしい。
ノックアウトステージが幕を開ける。ここからがワールドカップの醍醐味なのだからーー。
(写真・文=早草紀子/フォトジャーナリスト)