「関東の私鉄沿線格差」小林拓矢著
「関東の私鉄沿線格差」小林拓矢著
東京圏を走る私鉄には、路線ごとに違いや個性があり、私鉄各社の経営戦略とも深くかかわっている。東急電鉄や東武鉄道、小田急電鉄など東京圏を中心に私鉄8社の沿線におけるこうした「格差」について論じた鉄道本。
複合的に事業を展開して、沿線を豊かにしていくというビジネスモデルをつくり上げたのは、1910(明治43)年開業の箕面有馬電気軌道(現在の阪急電鉄)を率いた小林一三だった。この流れが関東に広まり、中でも東急電鉄の五島慶太は、沿線格差を意識的に事業戦略に組み込み、首都圏における沿線ビジネスを確立した。
沿線格差が生まれた歴史を振り返るとともに、沿線ごとの特徴や私鉄各社が企業戦略に沿線格差をどのように取り入れているかを解説する。 (河出書房新社 979円)