日本が世界リード 内視鏡検査の要は「解像度」より「光」
「検査を行う際、カメラの解像度がいま以上にアップしても、患者さんにも医師にもプラスになるかといえば疑問です。見えすぎることで、かえって病変がわかりづらくなってしまうケースがあるからです。たとえば胃がんの場合、胃の粘膜が荒れてしまっている患者さんが多く、ただでさえ表面がでこぼこしています。細かく見えすぎると、正常な粘膜なのか、がんなのか、かえって混乱してしまうのです」
また、解像度がアップしたことで超早期のがんを見つけることができたとしても、患者にとって有用とは限らない。
「いまの解像度の内視鏡でも、5ミリ以下の微小ながんは十分に発見できます。それ以下の大きさのがんを見つけたとしても、がんの境界をはっきりさせるためにもう少し大きくなるまで待つ場合も少なくありません。がんが小さすぎると、生検のためにひとかき組織を取っただけでがんが消えてしまうケースがあるからで、『ひとかき胃がん』といわれています。ひとかき胃がんは、その後に検査してもがんは見つからずに治ってしまいますが、患者さんの多くは『本当にがんは取り切れたのか』と戸惑います。医師に方も、がんがどこにあったのかわからなくなり、その後は短い間隔で胃カメラ検査をするしかないことも多いのです」