高血圧の放置が悪循環を招く 「腎臓と心臓」の密接な関係
腎臓は、血液を濾過して老廃物や塩分を尿として排出する役割を担っています。また、血圧をコントロールしたり、赤血球を増やすホルモンを産生する機能もあります。腎臓の機能が衰えると尿が出なくなり、老廃物や毒素が体にたまって尿毒症を起こし、最悪の場合、死に至ります。それくらい重要な臓器です。腎臓が血液を濾過する機構は「ネフロン」と呼ばれ、腎臓には100万個以上のネフロンが存在しています。
血圧が高い状態が続くと、このネフロンが障害されて減少し、腎臓の構造そのものが衰え、薄っぺらい状態になってしまうのです。もちろん、そうなれば腎臓の機能は低下します。
腎臓は「薬の代謝」も行っています。服用した薬が効果を発揮するには、腎臓の働きが不可欠です。高血圧の患者さんは降圧剤を服用したり、塩分制限で血圧をコントロールしたりするケースがほとんどです。しかし、腎機能が低下すると薬の効きが悪くなったり、塩分の排出がうまくいかなくなったりで、血圧をコントロールしにくくなってしまいます。そうなると、血圧が高い状態が続くことになり、ますます腎臓がダメージを受ける……という悪循環に陥ってしまうのです。