著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

雪が降った後は心筋梗塞に注意を

公開日: 更新日:

 以前、この連載でも紹介しましたが、「寒い日が続く冬季は心臓病の発症リスクが高まる」という研究が報告されています。外気温が下がると血管が収縮し、血圧が高くなることから、心臓への負担が増えてしまうのでしょう。

 3月になりましたが、場所によってはまだまだ雪が降り積もる地方もあると思います。

 先に述べたとおり冬季は心臓病のリスクに注意が必要ですが、カナダ内科学会誌(2017年2月号)に降雪と心筋梗塞の関連を検討した研究論文が掲載されました。

 この研究は、カナダで行われたもので、1981~2014年の11~4月における降雪量(センチ)、降雪時間(時)と、心筋梗塞による入院または死亡との関連を検討したものです。健康管理データベースを用いて、12万8073件の心筋梗塞入院例、6万8155件の心筋梗塞死亡例が解析の対象となりました。なお、結果に影響を与えうる一日の最低気温や年齢などは統計的に補正して解析を行っています。

 研究の結果、降雪量、降雪時間は男性においてのみ、心筋梗塞による入院もしくは死亡に関連していました。降雪量0センチと比較して、20センチで入院が16%、死亡が34%、また降雪時間が0時間に比べて、24時間では入院が8%、死亡が12%、統計学的にも有意に増加することが示されました。一方、女性ではいずれの結果においても明確な差が出ませんでした。

 降雪量や降雪期間が心筋梗塞を引き起こす直接の原因かどうかは不明です。男女差があるので、因果関係ではないように思われます。しかし、男性は雪が降った後、雪かきする可能性が女性より高いことも考えられます。こうした作業が、あるいは心臓に負担を与えているのかもしれません。

【連載】役に立つオモシロ医学論文

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」