Aβ減らすアーモンドやナッツで認知症は本当に防げるのか
「アルツハイマー型認知症の主犯は老人斑のもととなるAβというのが依然有力視されていますが、最近では状況が徐々に変化しています。7月のアルツハイマー病協会国際会議(開催地ロンドン)では、タウタンパク質に言及する論文が増えました。製薬会社もAβから関心が移り、タウタンパク質をターゲットにした薬研究が進んでいます」
その理由は「脳内のAβ除去で認知症は防げる」とのコンセプトで世界中の学者や製薬会社が認知症治療に取り組みながら、ことごとく失敗に終わったから。Aβの量を減らしても認知症の進行は阻止できないことが明らかになりつつあるという。
たとえば、Aβをつくり出す働きがある酵素を阻害する化合物が数多く開発されたが、良い結果は出ていない。最近では、ベルベセスタットという化合物が、軽・中度の患者を対象とした初期の臨床試験で好結果が出たとして注目されたが、大規模臨床試験では効果を得られず、今年2月に試験打ち切りとなっている。
■Aβはむしろ脳卒中に関連か
現在、Aβ仮説に基づく創薬研究で最大の注目は、米バイオジェン社の「アデュカヌマブ」という抗体。その投与により、認知機能の改善が認められたと「ネイチャー」誌が取り上げた。現在、国際共同試験(フェーズⅢ)が始まっているが、ベルベセスタットのように少人数ではよくとも、大規模臨床試験では結果が出ない可能性もある。