自覚症状なき誤嚥の原因 ラクナ脳梗塞とはどんな疾患か
■嚥下機能に関係する物質が減少
一方、不顕性誤嚥は、意外な疾患が背後に隠れている可能性がある。それは、ラクナ脳梗塞だ。
「ラクナ脳梗塞で神経伝達物質ドーパミンの代謝が障害され、舌咽神経などで作られる物質サブスタンスPの量が減少します。サブスタンスPは嚥下機能を左右するので、誤嚥が起こりやすくなるのです」
ラクナ脳梗塞は、高血圧、糖尿病などで進行した動脈硬化によって脳の細い動脈が詰まって生じる。無症候性脳梗塞ともいわれるように、たいていは症状がない。高齢者に脳のMRI検査を行うと、かなりの確率でラクナ脳梗塞が見つかるともいわれている。
「高齢者の不顕性誤嚥対策は、健康で長生きするための重要なポイントになります」
喉の筋力低下を避けることも重要だが、まずは、生活習慣を改善してラクナ脳梗塞を起こさない。さらに、不顕性誤嚥による“害”を少しでも減らすようにする。
「睡眠中に気道に流れ込んだ唾液などが炎症を引き起こすのは、唾液に細菌がたくさん含まれているから。口腔内の清潔を保つことに努めなければなりません」