がんの転移があるのかないのか… 患者の不安は大きい
先日、知人のAさん(55歳・男性)から2回目の電話がありました。Aさんは肺がんと診断され、検査が続いていました。
「検査の結果、骨の転移はありませんでした。診察の時、先生がそれを真っ先に言ってくれました。手術できそうです。本当に良かった」
骨シンチグラフィー検査で骨に転移がなかったのは実に喜ばしいことでした。それに加え、担当医がそのことを真っ先に伝えたということに私もうれしくなりました。転移があるのか、ないのか。少しでも早く知りたい患者の気持ちを、担当医はよく分かっている。担当医が患者と共にいてくれている――そう思えたからです。
がんの種類は違っていても、骨に転移がある、なしでは治療方針が大きく変わってきます。肺がんで骨転移があれば、病期(ステージ)は最も進んだⅣ期と診断されます。その場合、原発巣(たとえば肺がんなら肺)を切除する手術ができたとしても、生存期間が長くはならないことは一般的にも知られています。
以前、私が担当医だった胸腺がんと闘った患者(外科医師)は、骨転移がなかったことを知らされた時の喜びを、後に奥さんが出版された「戦士に敬礼!」(斎藤菜々著 悠飛社)の中でこう記しています。