放射線が効きにくいのは…塊が大きく細胞分裂しないがん
多くのがんは放射線治療はある程度有効だが、がんの中では扁平上皮がんのほうが腺がんより効きやすいとされている。腺がんの代表例は乳がんであるが、50グレイ程度の放射線を照射する乳房温存療法では、軽度の日焼け程度の副作用だけである。
しかしながら、それ以上の放射線治療を行うと当然、副作用が生じる。
「皮膚の腫れや発赤、脱毛などのほか、吐き気や眠気が表れることがあります。さらに治療から半年から数年経って副作用が表れる『晩発性放射線有害事象』が起こる場合もあります」(一石英一郎教授)
例えば「肺線維症」「放射線性心膜炎」「出血性膀胱炎」「出血性大腸炎」だ。これらは通常は無治療でも様子が見られることが多いが、重度の場合は高圧酸素療法や出血部の焼灼などが検討される。
放射線治療による副作用は、基本的に照射した部分にしか生じない。
かつては放射線治療を受けると脱毛や白血病を発症するというイメージが強かったが、これは抗がん剤と一緒に使用することが多かったためだという声が、放射線治療医の中にある。