リスクが16分の1に低下「ひげ」が皮膚がんを予防する
口ひげや顎ひげが、男らしいと流行したこともありました。一方でむさくるしく清潔感がない、というように悪い印象を持たれることもあるようです。
ひげは健康に、どのような影響を与えるのでしょうか?
日光角化症という病気があります。名前だけ聞くと悪い病気ではなさそうですが、実は紫外線の影響で起こる早期の皮膚がんのことです。
この状態では転移などはしないのですが、進行すると有棘細胞がんという、より悪性度の高い皮膚がんになるのです。
見た目は少し盛り上がった赤いあざのようなもので、境界ははっきりせず、カサカサしていてかさぶたができやすいのが特徴です。日焼けをしやすい顔などにこうした変化があったら、皮膚科を受診して相談するのが安心なのです。
今年の皮膚科学の専門誌に、この日光角化症とひげについての、興味深い論文(短報)が掲載されました。
アメリカで顔や頭部の日光角化症の男性患者さん200人を調査したところ、口ひげのある人はない人と比較して、下唇に日光角化症ができるリスクが、何と16分の1に低下していたのです。
髪の毛と同様、ひげにも、紫外線の皮膚への悪影響を妨げ、皮膚がんなどの予防効果があるようです。ひげを伸ばすことは、意外に健康的であるのかも知れません。