脊髄損傷でも車イスや寝たきりにならない再生治療が登場
たまたま札幌医大に救急搬送されたというケースもあるだろうが、多くは医師が「この患者は札幌医大の脊髄損傷の治療を受ける基準に該当している」と判断し、札幌医大にコンタクトを取るケースだろう。
培養に時間がかかるため、脊髄損傷を受傷してから2週間以内を目安に札幌医大への入院(転院)が必要。
「患者さん自身の細胞(自家細胞)を使っており、移植細胞の拒絶反応が生じないことが利点です。欠点としては培養期間が必要なため、すぐにでも投与したい脊髄損傷急性期において、投与まで少し時間がかかることです」
脊髄損傷の再生医療には、①細胞を使うか薬を使うか②細胞を使うなら札幌医大のように自家細胞を使うか、または他人から製造した細胞を使うか③細胞を移植するなら札幌医大のように点滴で行うか、または脊髄に直接移植するか。最新のリハビリ治療を組み合わせるか。今後考え得る治療戦略はさまざまだ。
■まずは急性期の患者の治療を確立
他人のiPS細胞からつくった神経のもとになる細胞を患者の脊髄に直接移植する世界初の治験計画が厚労省に了承されたのが、慶応義塾大学の研究チーム。脊髄損傷から2~4週間が経過し、運動および感覚が麻痺した患者が対象。今年秋からスタートする。1年かけて4例を組み入れ安全性や効果を確かめる。