豊富な医学的知識を有することは認知症の予防につながる?
高齢化に伴い、認知症を有する人は世界的にも増加しています。認知症はさまざまな原因が複雑に影響して発症すると考えられていますが、その危険因子として、「年齢」「肥満」「高血圧」「糖尿病」「喫煙」「教育水準の低さ」「運動不足」「社会的に孤立した状態」などを挙げることができます。
認知症の発症に関わる原因を少しでも避けるために医学的な専門知識は役立つように思われますが、こうした知識を豊富に持つ医師は認知症のリスクが低いのでしょうか。老年医学に関する国際誌の電子版に、医療職と認知症の有病割合を検討した研究論文が2019年8月19日付で掲載されました。
この研究では、台湾に在住している医師2万9388人(平均45・2歳)、医師以外の医療職3万446人(37・4歳)、一般の人5万人(平均48・7歳)が解析の対象となり、認知症の有病割合が比較されました。なお、結果に影響を与えうる年齢、性別、頭部外傷の有無、糖尿病の有無、脳卒中の経験などの因子について、統計的に補正して解析されています。
06年から12年までの病歴を追跡した結果、認知症の有病は一般の人に比べて、医師で44%、医師以外の医療職で54%、統計学的にも有意に低いことが示されました。