年末年始から1カ月…痛くない“大人の虫歯”が寿命を縮める
「年末年始は旅行などで生活習慣が乱れたせいで歯磨きがおろそかになりがちです。そのため、1カ月後には虫歯になる人が目立ちます。ところが大人の虫歯は自覚症状が乏しいため、中高年はそれに気づきません。定期健診で訪れて『虫歯ができていますよ』と告げると驚くケースが多いのです」
大人の虫歯が痛まないのは、中高年の虫歯ができやすい場所のひとつが虫歯治療済みの歯だからだ。かぶせ物や詰め物の下の神経を抜いた歯では痛みを感じない。さらに中高年にできやすい歯根部の虫歯は、痛みが出にくい傾向にある。糖尿病の合併症である神経障害を起こしていれば、なおさらだ。そもそも、大人の虫歯は若年者よりも進行のスピードが速い。
「大人は加齢や歯周病などで歯茎が下がるため、硬いエナメル質でなく、歯根の軟らかい象牙質がむき出しになりやすい。そこに虫歯ができやすいのです。虫歯は軟らかい場所が侵食されやすいので、悪化のスピードが速くなります」
親知らずも大人の虫歯ができやすい場所だ。
中高年は、「残り少ない歯を、できるだけ残すべき」との思い込みが強く、真っすぐに生えていない親知らずさえも守ろうとする。しかし、抜くべき歯を残したばかりに、かえって親知らずの手前の歯を失うケースが少なくないという。実際、真っすぐ生えない親知らずは歯列を乱し、歯と歯の隙間も多くなる。歯を磨いても磨き残しが多くなりやすい。