新型コロナウイルスの「経口ワクチン」は作製が可能なのか
実際、世界でいくつかのメーカーが試みているが、第Ⅲ相の臨床試験が終わったものはない。
現実的なのはスプレーによる「経鼻ワクチン」の方だ。カナダのメディカゴ社が植物を精製した「VLPワクチン」の臨床試験を進めており、承認も間近と報じられている。
【Q】新型コロナのワクチンは3回以上の接種が必要になりそうだ。BCGや麻疹のように子どものころに打って終わるワクチンとの違いは?
【A】「たとえばBCGは結核菌に対するワクチンですが、結核菌はほとんど変異をしません。増殖も速くなく、10~15年は免疫が続くため、免疫力が低い子ども時代に打てば、30歳くらいまで予防効果があります。一方、RNAウイルスである新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスは変異が非常に多いため、一度免疫を付与しても新しく変異したものが入ってくると対応できない。だから、長く付き合う感染症となるのです。先述の経口ワクチンのように新型コロナウイルスワクチンでも、弱毒化生ワクチンの臨床研究は続いています。うまくいけばBCGと近い強力な効果が期待されますが、一方で弱毒化ワクチンウイルスによるリスクも懸念されています」