日本が国産コロナワクチンの開発に積極的ではない理由とは
【A】「例えば紀元6世紀ごろ、東ローマ帝国は皇帝ユスティニアヌスが治世中に、北ヨーロッパで流行したペストによって兵力がほぼ全滅したといわれます。侵攻していたフランスとイギリスなどは撤退せざるを得なくなった。第1次世界大戦中は、スペインインフルエンザ(1918~20年)が大流行し、ヨーロッパの約3分の1ほどの人が罹患したことが、終戦につながったと考えられています。また、日本でも、第2次世界大戦中のインパール作戦で、中国からカンボジア、ミャンマーへ移っていく部隊がマラリア及び飢餓により死亡し、戦わずしてほぼ全滅しました。太平洋諸島でアメリカ軍と交戦している時は、マラリアやコレラなどで兵力が半減したことも記録に残っています。歴史を振り返っても、感染症の恐ろしさを知ることができます。ただ、戦後の日本は他国と違って戦争を放棄しました。そのため、感染症に対する備えも重視されなくなり、何かあればアメリカなどから必要な医薬品を購入すればいいと考えているのでしょう。ワクチンの研究費はアメリカの20分の1以下で、若い研究者も育てていません」
戦争をしない選択は否定されるものではないが、平和でありさえすれば国民の命が守られるということではないだろう。