新型コロナウイルス「動物間」での感染拡大はなぜ怖いのか

公開日: 更新日:

■変異株の動物ACE2への結合を確認

 問題は、新型コロナの変異株はなぜ種の壁を乗り越える可能性を高めることにつながるのか、だ。

「Immunity」という免疫分野の国際的な論文雑誌の2021年6月8日号に中国の研究者による興味深い研究が掲載されている。新型コロナウイルスの変異株のスパイクタンパク質の構造の変化を調べたものだ。

 それによると変異株はスパイクタンパク質の特定部分が変化して、人の細胞の表面にあるACE2受容体への結合がより強固になり、中和抗体では阻害しにくくなっているという。と、同時に英国変異株(アルファ株)と違って南アフリカ変異株(ベータ株)、ブラジル変異株(ガンマ株)はマウスとミンクのACE2受容体を使用し侵入する能力を獲得したと報告している。

「むろん、これはひとつの研究結果に過ぎません。今後その内容が多くの研究者によって何度も何度も検証されなければ変異株により種の壁を越えてさまざまな動物へ感染しやすくなったとはいえません。ただ、いまは犬や猫の新型コロナウイルスが人に直接感染しないとしても別の動物に感染し、そこで新たな変異を獲得して人への感染が可能になるかもしれない。そうなると、新型コロナは未知のウイルスに姿を変えて、手がつけられなくなります」

 そうならないためには「人と動物の健康は一つと捉え、これが地球環境の保全に、また、安全・安心な社会の実現につながる」という「One World-One Health」の考え方を皆が持ち、「人と動物が共存して生きる社会」を目指すよう努力することが必要なのではないだろうか。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中居正広氏《ジャニーと似てる》白髪姿で再注目!50代が20代に性加害で結婚匂わせのおぞましさ

  2. 2

    中居正広氏は元フジテレビ女性アナへの“性暴力”で引退…元TOKIO山口達也氏「何もしないなら帰れ」との違い

  3. 3

    佐藤健は9年越しの“不倫示談”バラされトバッチリ…広末涼子所属事務所の完全否定から一転

  4. 4

    広末涼子容疑者は看護師に暴行で逮捕…心理学者・富田隆氏が分析する「奇行」のウラ

  5. 5

    パワハラ告発されたJ1町田は黒田剛監督もクラブも四方八方敵だらけ…新たな「告発」待ったなしか?

  1. 6

    矢沢永吉「大切なお知らせ」は引退か新たな挑戦か…浮上するミック・ジャガーとの“点と線” 

  2. 7

    中日井上監督を悩ます「25歳の代打屋」ブライト健太の起用法…「スタメンでは使いにくい」の指摘も

  3. 8

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  4. 9

    広末涼子容疑者「きもちくしてくれて」不倫騒動から2年弱の逮捕劇…前夫が懸念していた“心が壊れるとき”

  5. 10

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは