「認知症が回復した」というのは脳がどんな状態にあるのか?
認知症には大きく分けて、4種類あるとされています。「アルツハイマー型認知症」を筆頭に「血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」がそれに該当し、これらは不可逆的な認知症のため、一度進行してしまえば回復することはありません。
一方、書籍や雑誌記事などで「認知症の奇跡の回復」「治し方」といった企画を目にします。周囲からも本当ですか? という声を聞きます。
実は4種類の認知症以外で認知機能の低下が見られた患者さんなら、回復するケースがあります。脳の器質的な疾患が取り除かれて、認知症が急激に改善する場合があるからです。
たとえば「正常圧水頭症」(脳に水がたまる病気)や「ウイルス性のヘルペス脳炎」を原因とした認知症です。脳に目に見える原因があって認知症に至った場合には、一度急激に認知機能低下の症状が出ますが、外科手術などによって原因が取り除かれると急速に回復します。ほかにも、うつ病が悪化して認知症のように見えることもあり、そのような場合はうつ病の治療を行えば、認知機能が回復するケースもあります。