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新井平伊順天堂大学医学部名誉教授

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

定期的かつ長期的な運動は認知機能に良い影響をもたらす

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週3回以上運動している人はリスクが38%低い

 運動の頻度については、こんな研究が。65歳以上の高齢者で、運動の頻度が週3回以上の人と、週3回未満の人を比較すると、約6年の経過観察において、週3回以上の方が認知症の発症リスクが38%低かったそうです。

 ただ、運動が苦じゃない人は「認知症予防に」などと言われなくても、すでに何らかの運動をしていますよね。一方、苦手な人は「運動がいい」とわかっていても、なかなか行動に移せない。

 性格にもよりますが、運動習慣がない人は、1人で黙々とマシンを使うようなスポーツジムは、向いていないかもしれません。最初は、仲間と楽しく行えるものがお勧めです。史跡散策、ハイキング、登山なども立派な運動。ネットで検索すれば、中高年で運動が苦手な人でも楽しんで参加できるサークルがいくつもヒットします。

 冒頭で紹介した「ラクティブ」や「シナプソロジー」も仲間と一緒に行うタイプのもので、参加者の皆さんは「間違えた!」「うまくできない!」などと盛り上がりながら楽しんでやっていますよ。

 運動には、ウオーキングや水泳のような有酸素運動と、レジスタンス運動(筋トレなど)がありますが、認知症の予防には特に有酸素運動がいいとされています。有酸素運動でもたらされる脳血流量の増大や血管の新生が、認知症予防に働くと考えられているのです。

 高齢者を対象とした研究では、有酸素運動で記憶をつかさどる海馬の容積が増加することが報告されています。

 また、有酸素運動は最大酸素摂取量(VO2Max)を高める効果があり、この最大酸素摂取量が高い高齢者ほど、海馬の容積が大きく、空間認知機能がよいことも報告されています。最大酸素摂取量は、その人が一定時間に体内へ取り込むことができる酸素摂取量の最大値で、全身持久力の指標になっています。

 腕時計型のデバイスであるスマートウオッチには、最大酸素摂取量の測定機能が搭載されているものが多いですから、こういったものを使って、体を動かすことのモチベーションを上げるのもひとつの手です。

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