心不全パンデミックを乗り切るために「薬」と「生活習慣」のバランスを考える
■管理から外れる部分を薬で補う
心筋梗塞後に慢性心不全を起こさないようにすることも含め、「心不全パンデミック」を乗り切るために大切なのは、薬物治療と生活習慣を整えることです。まず、心筋梗塞から生還した人も、将来的な心不全リスクになる生活習慣病を抱えている人も、主治医から処方された薬をきちんと服用することが大前提です。そのうえで、生活習慣とのバランスを考えるのです。
心筋梗塞を起こした後、あるいは生活習慣病を抱えている状況で、なんの制限もなく好きなものを食べ、好きなことをやりたいとなれば、生活習慣をコントロールする、という姿勢からは逸脱しているといえます。その逸脱している部分をごまかす=補うための手段として、薬を飲むという選択があるわけです。たとえば、血圧を管理するために塩分を厳格に控えた食事をとるのは避けたいから、降圧剤をしっかり飲むといった考え方です。血糖値やコレステロールでも、同じケースがありえます。
そういった「薬」と「生活習慣」のバランスをどのようにとるのか。「毎日の服薬:生活習慣の管理」の比率を合計100とした場合、90:10にするのか、50:50にするのか、30:70にするのか。このバランスは、QOLを優先したいのか、疾患リスク低減を優先したいのか、その人の考え方によって変わってきます。