見知らぬ病院で母を逝かせたくない…何とか家に連れて帰りたい
「医療用ベッドをレンタルしているんですけど、母は意識がある時、医療用のベッドだと狭いってずっと文句言っていました。最期は慣れ親しんでいるセミダブルのベッドを使いたいと言っていたので、できれば替えたいんです。もちろん医療用のじゃないので介護の負担とか、その他医療のスタッフさんには少しご不便があるかもしれないですが」(娘)
「医療用のベッドじゃないとできない処置っていうのはないです。懸念点は介護の負担だったり、褥瘡(床ずれ)予防のマットレスのサイズが少し合わないというところですが、もしそれでも元々のベッドがご希望ということでしたら、それでも大丈夫ですよ」(私)
「わかりました。マットレスのことは業者さんにも相談してみます」(娘)
お母さんを自宅に連れて帰るために、娘さんは一生懸命、さまざまな事業者へ連絡し、調整されていました。それもこれもみな母の最期を自宅で迎えさせてあげたいという思いからでした。
こうして自宅での態勢を整えていたところ、病院の医師から「状態が厳しく、転院はおろか入院中にその時が来るかもしれません」と告げられたのでした。お母さまを敬い希望する最期を迎えさせてあげようと手を尽くした娘さんでしたが、現実は厳しいものとなったのでした。