「一流と日本庭園」生島あゆみ著
近年、訪日外国人旅行者数が急増しているが、観光客の約6割がリピーターだそうだ。2度目以降はちょっと変わったところへ行きたいと思うものだが、そうした人にとってうってつけなのが日本庭園巡り。著者は、英仏語の通訳をしながら、京都を中心に庭園ガイドを行っている。午前中は時代やタイプの違う庭園を案内し、午後には客の好みに合わせて、その季節にベストの庭園に連れて行くというオーダーメードのようなツアーを提供している。
本書はそうした著者の経験に照らして、「なぜ一流とされる人たちは成功を手に入れた先に、日本庭園にたどり着くのか」を、15人の一流と彼らが愛した庭園の関係を描いている。足利義満と金閣寺、ブルーノ・タウトと桂離宮といった定番のほか、宮本武蔵と本松寺庭園、スティーブ・ジョブズと西芳寺、空海と神泉苑、稲盛和夫と和輪庵、川端康成と祇王寺、エリザベス女王2世と龍安寺、デビッド・ボウイと正伝寺……といった魅力的な組み合わせまで多彩。
一流たちの略歴や夢窓疎石ら歴代名作庭家の紹介や庭園用語の解説も付され、良き日本庭園入門書にもなっている。
(CCCメディアハウス 1600円+税)