10年で腰痛治療5万人 「痛みナビ体操」で改善率85~90%
「腰痛は、体を後ろに反らすと楽になる『後屈改善型』、前に曲げると楽になる『前屈改善型』、腰を左右に動かすと楽になる『側方改善型』の3つに大別できます。その患者さんのタイプや症状の程度などに合わせて、理学療法士が体操を指導します。それを持ち帰ってもらい、自宅や職場で毎日実践してもらいます」
たとえば最も多い後屈改善型では、①壁に両手をついて立つ②腰を前に突き出しはじめる③さらに腰を反らす。この体操を10回1セット、1日に5~6セット行う。
通院は月に1~2回、痛みの状況を確認し、体操の調整をする。体操をマスターして、患者本人が腰痛をコントロールできるようになれば卒業(通院終了)だ。
「痛みナビ体操による腰痛の改善率は85~90%です。治療開始から卒業までの期間は症状の程度にもよりますが、平均して急性腰痛の場合には2カ月くらい、1年以上続いている慢性腰痛では半年くらいです」
銅冶院長は、大学院在籍中に腰痛の分子生物学的基礎研究を行っていたが、薬剤の効果に限界を感じた。そこでリハビリテーション専門医になり、さまざまな運動療法を自ら試し、5年かけて開発したのが「痛みナビ体操」。あらゆる関節痛に対して、ここ10年間でこの運動療法を処方した患者数は約5万人に上るという。