支払いはお札やカードばかり…老化のサインはしぐさに出る
■30代後半から老廃物がたまる
ところで、脳の老化が始まると、脳の中で何が起きているのだろうか。ネット上には、萎縮するとか、シミができるなどの情報が氾濫しているが……。
「脳の老化は30代後半から見受けられます。病理学的に老化をひとことで言うなら、脳の中に老廃物がたまるということ。老廃物とは、アミロイドβやアルツハイマーの原因とされるタウタンパク質です。20代までは成長する因子の方が強いため老廃物はたまりにくい。ですが、40、50代になると、たまる因子の方が強くなってしまう。こうして誰でも脳の老化は大なり小なり進みます。また、人間の脳は老廃物を髄液の中に流して排泄する働きを持っています。なおかつ、この働きが強く作用するのは睡眠時です。寝ているときは、150%くらいまで盛んに老廃物を流すと考えられています。十分な睡眠をとることは、脳の老化対策に大きな意味を持つのです」(加藤院長)
運動や食事も大切だが、まずはグッスリ眠ることだ。
加藤院長はこれまで1万人を超える数の脳のMRI画像を見てきた。大ベテランの経験で言うと、若者と定年世代の画像には明らかに違いがあるという。
「たとえば20歳と65歳の画像を比較した場合、極端なのは脳の“枝ぶり”が違います。白と黒に写る境界部分の強弱です。植物に例えるなら、20歳は強固で枝がピチピチしていて栄養状態がいい。65歳のそれは弱々しくやっとバランスをとっているよう。実はこの枝ぶりが脳内をつなぐネットワーク。65歳の脳はそれが枯れ始めている状態と言っていい。ここへ老廃物がどんどんたまると、林道が整備されていた山林に老廃物がたまり林道が消え、雑木林になってしまいます。再び元のネットワークを取り戻すには、脳を使って新陳代謝をよくするしかない。私は年を取るほど勉強しなきゃいけないと言っていますが、コレが脳の仕組みだからです」(加藤院長)