腎臓は人体の要…熱中症による腎機能低下には要注意
腎臓は骨と絶えず情報交換することで、寿命や老化に関係する動脈硬化などにも関係することがわかっている。
「血液中のリン濃度が少ない動物ほど寿命が長いことが報告されていますが、それは主成分がリン酸カルシウムである骨が血液中のリン濃度が高くなると『リンは十分足りています』という情報を腎臓に送り、この情報を基に腎臓が血液中のリン濃度を調整しているからです」
熱中症は、こうした腎臓の働きをすべて狂わせてしまう。急性腎不全を併発して命を左右することにもなりかねない。
「大量の汗をかいて体内の水分量が減ると、血液量も減り、腎臓の血流が減ります。そうなると、腎臓から排出すべき老廃物が排出できなくなり、全身に毒素が回ります」
汗の成分は水分と電解質。大量の発汗は体液の電解質のバランスを崩すことになる。
「体の中の細胞は、細胞外液で保護されています。この細胞外液に含まれる電解質の割合が変わると細胞は死んでしまいます。腎臓は体重の3分の1を占める細胞外液の成分、とくに電解質のバランスを調整しています。このバランスが崩れると、けいれん、むくみ、心不全、意識障害などを起こします」