免疫細胞の自爆の連鎖が原因?新型コロナ重症化に潜む知られざるメカニズム

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 ところが、新型コロナウイルス感染症とみられる肺血栓塞栓症で亡くなった人の血栓を調べたところ、その中に好中球の死骸が多数見つかっている。そのため、新型コロナによって生じた血栓は単に免疫の暴走であるサイトカインストームにより傷つけられた血管の修復のために集まった血液凝固成分の集積だけでなく、連鎖的な「好中球細胞外トラップ」(NETs)によるものではないか、とも考えられるという。

「好中球は 白血球の一種で、通常は体内で盛んな遊走運動(アメーバ様運動)を行い、体内に侵入してきたウイルス、細菌や真菌などの病原体を食べて(貪食)、感染を防ごうとします。好中球は血管内外で安定している時には、丸い形で前後左右の区別を持たずに転がるように移動しています。病原体を認識すると、貪食するために走っていかなければなりません(遊走)。エムインクスという細胞内たんぱく質の働きで前後の軸を持つようになり、幅広し頭部や長細い尻尾が出来てから走り出します。ただし、敵の病原体があまりに多すぎる場合は、これを食べないで、自らの遺伝子情報であるデオキシリボ核酸(DNA)の網を投げて、捕らえ殺すことがあるのです。この網のことを好中球細胞外トラップ(NETs)と言います。NETsの主な成分は DNA 骨格で、ヒストン、好中球エラスターゼ、ミエロペルオキシダーゼなどの抗菌タンパク質が散りばめられています。なかでもヒストンはウイルスを殺す作用が強力です」

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