亀を飼っていた85歳の患者さんも、印象に残っています。奥さんと2人暮らしで、亀を室内に放し飼いにし、子供のように可愛がっていました。私が自宅に伺った時は、勧められた座布団の下に亀が潜り込んでいて、踏みつけそうになったこともありました。
そんな患者さんが、ある時こう言ったのです。
「病院だと無理だけど、自宅だと亀と一緒に過ごせるのがよい。餌や水を与えるのが日課になっていて、こうして世話をすることで自分の生活が保たれているようです」
これまでの連載で、在宅医療では自分らしく過ごすことができると伝えてきましたが、それだけでなく、ペットとの生活も続けることができるのです。