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渡辺剛心臓血管外科医

1958年東京生まれ、ニューハート・ワタナベ国際病院総長。日本ロボット外科学会理事長、心臓血管外科医、ロボット外科医、心臓血管外科学者、心臓血管外科専門医、日本胸部外科学会指導医など。1984年金沢大学医学部卒業、ドイツ・ハノーファー医科大学心臓血管外科留学中に32歳で日本人最年少の心臓移植手術を執刀。1993年日本で始めて人工心肺を用いないOff-pump CABG(OPCAB)に成功。2000年に41歳で金沢大学外科学第一講座教授、2005年日本人として初めてのロボット心臓手術に成功、東京医科大学心臓外科 教授(兼任)、2011年国際医療福祉大学客員教授、2013年帝京大学客員教授。

いざというときに備え心臓手術を取り巻く状況を知っておきたい

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 心臓病手術はかつて、救命のための手術であり、手術による傷など手術後の生活の質(QOL)については重きを置くことなく行われてきた。しかし、近年は救命は当然としてQOLを高めるさまざまな手術法が開発されており、患者はそれを選択できるようになっている。

 ニューハートワタナベ国際病院では、日帰りの心臓手術から大掛かりな開胸による心臓手術までさまざまな治療法を行っている。最近は体に優しい、低侵襲性の手術を行っている。たとえば大動脈瘤を切除して人工血管を縫い付ける人工血管置換術では、超低体温ではなく軽度低体温手術を開発し、実践している。超低体温下の人工血管置換術では脳梗塞感染症肺炎などのリスクが高くなるなどのデメリットがあるからだ。

 また、手術痕が少なく、体力のない患者さんでも受けられる「ダビンチ」によるロボット心臓外科手術に力を注いでおり、2019年に次いで2020年もその症例数が世界一となったという。

「若い女性などは手術痕を気にして手術法を選ぶケースは少なくありません。その意味でも心臓治療を網羅的に知り、よりベターな治療法を提示できる外科医は今後ますます必要とされるでしょう。ただし、将来的に心臓疾患を抱える高齢者の数が増えたとしても、本格的な心臓外科手術が必要な患者さんは少なくなり、より専門性の高い手術については経験豊富な一部の心臓外科医に集中するようになる。そのため若手が育ちにくく、心臓外科医の数は減っていく傾向にあります」

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